相続手続きを進めるにあたり、相続人の中に「連絡先が分からない人がいる」というケースがある。親が亡くなって、相続人は子どもだけ、みたいな相続なら、そんなことはあまりないかもしれないが、きょうだいやおいめいが絡むようなケースだと、中に何十年も音信不通、みたいな状況も、時として遭遇する。
その場合は、司法書士や行政書士、弁護士に、相続人調査を依頼することができる。これらの資格者には、職務上、手続きに必要な戸籍等の書類を取得する権限が与えられている。委任状は必要ない。戸籍等をたどって、連絡が取れない相続人の「住所」を突き止める。
住所が分かれば、そこに手紙を出す。無事到着して、返事があれば、手続きの状況を説明するなどして、やり取りを進めることができる。ただ、手紙を出しても「宛て所に尋ね当たらない」などと、郵便が戻ってきたりすることもある。つまり、住民票の住所に、実際には住んでいないケースだ。
そういう場合は、居場所が分からない、ということで、その相続人は法律上「不在者」という扱いとなる。だからといって、その人を無視することはできず、その人の代理人を選んでもらう必要がある。その代理人のことを「不在者財産管理人」という。不在者財産管理人を、家庭裁判所に選んでもらい、この人を含めて相続手続きを行う流れになる。
あと、最近あった「住所が分からない」ケースとして、その相続人の住民票等に「閲覧制限」がかかっていたことがあった。DV(ドメスティック・バイオレンス)やストーカー被害などから本人を守るために、配偶者や家族などから住民票等の請求があっても、行政側がブロックできるという措置だ。この場合は、弁護士や司法書士でも住民票等を取ることができない。
では、相続手続きが一切止まってしまうかというとそうではない。遺産分割調停や遺言書の検認申し立てなど、手続き先が家庭裁判所の場合であれば、「住所不明(閲覧制限)」で申請すると、家庭裁判所が職権で、市町村に住民票等の情報の照会をかけることになっている。何かしら方法はあるので、「連絡先が分からない」家族、親族がいる場合は、あきらめずに、早めに専門家に相談しよう。(山下)