「なぜ相続の仕事をされているのですか?」。先日交流会で出会った保険業の方からの質問でした。もともと私は不動産売買の仕事を専門にしており、相続はあくまで不動産を売却するきっかけの一つでした。その問いに対する明確な答えが私にはあります。
6年前、父が65歳で亡くなりました。父の死をきっかけに父の兄(隣に住んでいた)と仲良くなったり、法要のたびに親族が集まったり、人生が有限であることを強く認識したり。父の相続は、私にとって大切な機会となりました。父が人生をかけて、私たち家族に残してくれた最後のメッセージだと捉えています。
不動産の売却が、相続の相談から始まることが増えています。しかし、相談者の方にとっては、その相続が故人や家族と向き合う大切な機会であるどころか、逆に、家族が壊れるきっかけにすらなっていることも多いことに気づきました。
私自身、幼少期に、家族をめぐる幾多の経験をしました。それは、両親の離婚に伴うひとり親家庭の暮らし、経済的な理由から電気やガスが止められたこと、また、祖父母との生活などです。そうしたさまざまな経験を、選択理論心理学やNLP心理学などのコミュニケーションの学びを通じて、自分の糧とし、相談者の不安や悩みに寄り添う力に変えています。相談者が抱える問題の核心に触れることで、「心が軽くなった」「お話してよかった」などの声をいただくこともあります。
相続手続きはあくまで手法の一つです。家族としてなぜその手続きを行う必要があるのか。目的は? 家族の共通のゴールは? 手続きを通じて、家族にとっての大切なことに気が付く機会にしてほしいと願っています。
「なぜ相続の仕事をしているのか」。その答えは、相続をきっかけに家族の絆を強くする、そのサポートをするためです。相続という人生で必ず迎える出来事が、多くの家族にとって大切な機会となるよう、今後も微力ながら活動して参ります。(宮村聡)



