遺言書を自分で書いた時の注意点①

 「遺言書を書いたのでチェックしてもらえますか?」。こういう相談が時々やって来る。「書き方」をまとめた本や、インターネットなどに出てくる「文例」を参考に、自分で遺言書を作る方が増えている。

 その際、一般の人が陥りがちな「ミス」について、2点紹介する。

 一つは、「遺言執行者」を指定していないこと。自分自身の財産を家族にどう配分するか、こちらはしっかり書けている。だが、遺言執行者を書き漏らしていることがとても多い。

 遺言執行者とは、遺言の内容を実現する人のこと。例えば、夫婦に子ども2人がいるような場合。夫の遺言書に「預金は全て妻に相続させる」と書いてあれば、預金は全て妻が受け取ることができる。しかし、夫の口座に入っているお金が、自動的に妻の口座に振り込まれるわけではない。夫の死後、妻が戸籍などを持って金融機関に赴き、夫の口座を解約したり、妻の口座に送金したりといった手続きを、「だれかが」しないといけない。

 その個別の手続きをする「だれか」のことを、遺言執行者という。これを遺言書で指定しておかないとどうなるかというと、妻が夫の預金を相続するために、遺言書を持って銀行に行ったとき、「手続きをする人(遺言執行者)が指定されていないので、相続人全員から印鑑をもらって来てください」と言われてしまうことがある。つまり、あなた(妻)が、手続きを進める権限を持っているかどうか、相続人全員(子ども2人)から承諾の印鑑をもらって来てください、ということが起きてしまう。

 他の人が関わらなくていいように、財産分けがスムーズに進むように、わざわざ遺言書を作ったのに、結局、他の相続人が関わらざるを得なくなってしまう。これは避けたいと思う人は多いだろう。

 だから、遺言書を作成する際、財産の配分を書き終えた後に、たった一行「遺言執行者は、妻Aを指定する」と入れてほしい。もちろん、「妻A」の部分は、人それぞれ違うので、状況に応じて変えてほしい。そして、遺言執行者は、基本的に、財産をもらう人がなればいい。場合によっては、司法書士や弁護士などに頼むこともできる。

 長くなったので、2つ目のポイントは、明日説明することにする。(山下)