「ラブレター」という響きに、なんとも言えない恋慕の情をくすぐられるのは、50歳前後の世代までだろうか。しゃれた便箋と封筒を買って、好きな人を思いながら、自分の気持ちを文字にする。でも、なかなか文章がまとまらなくて、書いては破り、読み返しては捨て。そんな光景が懐かしい。今の子たちはラブレターを便箋に書いたりするのかな。
遺言書は「最後のラブレター」と呼ばれることがある。その理由は、遺言書の中に、家族や大切な人へのメッセージを残すことができるから。遺言書は、自分自身が亡くなったときに残った財産を「だれに、何を、どのくらい」引き継ぐかをまとめた主要部分と、その続きに「付言事項(ふげんじこう)」といって、遺産の配分を決めた理由や、家族や大切な人への感謝の気持ちなどを、自由に記すことができるスペースが設けられている。この付言事項の部分を活用して、まさに「ラブレター」をしたためるのである。
「いつも笑顔で接してくれてありがとう。伝えきれないくらい感謝の気持ちでいっぱいです」(妻へのメッセージ)
「(長男と長女)2人とも私の大切な宝物です」
「今後は私に代わり私の最愛の妻をよろしく頼みます」(子どもたちへの呼びかけ)(以上、あかりテラス相続ハンドブックより)
夫、妻、子ども、親…家族であっても、普段、感謝の気持ちを直接伝えるのは、照れくさかったりしてできないこともあるだろう。であれば、遺言書という形ではあるけれど、本人が亡くなった後、本人が伝えたかった「ありがとう」や「大好き」を「手紙」で届けよう。残された家族はきっと喜ぶはず。そして、それは、遺言書の役割である相続手続きが終わっても、家族の心の支えとして、ずっと生き続けるだろう。遺言書にラブレター。最後にどうしても伝えておきたいことはありませんか。(山下)

