「土地高く買います」に注意

 「田舎の土地を数百万円で買ってくれるっていう連絡が、最近不動産業者からあった」。相続の相談を受けている際、相談者が何気なく話した。その土地には長年、固定資産税がかかっていないらしいが、「遠方にあるので、子どもには引き継がせたくない。、自分の代で処分してしまいたい」と思っているとのこと。ちょうどそんなことを考えているときに、タイミングよく勧誘の郵便物が届いたという。

 固定資産税もかからないような評価の低い土地を、高く買ってくれるなんて、そんなうまい話があるのか…? 私は、ピンときた。実は、これに似たような話を、以前にも数回聞いたことがあった。「それ、かつての『原野商法』の被害者を狙った悪質な勧誘かもしれないですよ」

 「原野商法」は、値上がりの見込みがほとんどないような山林や原野について、実際には建設計画等はないにもかかわらず、「開発計画がある」「もうすぐ道路ができる」などとうその説明をしたり、「将来確実に値上がりする」などと勧誘を行ったりして販売をする商法。1970年代から1980年代にかけて被害が多発した。

 この「原野商法」に当時引っかかり(または「引っかかった」という意識もないかもしれない)、購入したまま放置状態になっている土地について、その所有者が高齢になり、「これから管理をどうしようか」「そろそろ手放そうか」と悩んでいるタイミングを見計らった、勧誘が相次いでいるようだ。そして、「あなたの持っている土地を買い取ります」などといった勧誘をきっかけに、巧妙な手口で売却額より高い新たな山林や原野を購入させられる「二次被害」が目立っているという。(政府広報オンライン:https://www.gov-online.go.jp/article/201806/entry-10540.html

 今までの相談でも、処分に困っている原野を買い取ってくれるという話はあくまできっかけで、その所有者が持っている別の土地の売却を促したり、または、新たな土地の購入を持ちかけられたり、さらには、その土地を売却するためという名目で、多額な「調査や整地の費用」を請求されたりするケースがあった。郵送で送られてくる資料には、不動産業者の名称とともに、登録している宅地建物取引業の団体名も記載されている。一般の人がみると、信じてしまうような資料も数多く添付されている。

 人の悩みや弱みにつけ込む悪徳な商売は、いつの時代も見受けられる。それに引っかからないようにするには、自分で注意するしかないのだが、「ちょっと調べれば分かること」もある。どんなことにも「大丈夫かな」と疑ってかかる用心深さは、常に持ち合わせていたい。(山下)