大分に住む一人暮らしの母の様子を伺いに、月に1回程度帰省している。片道3時間、日帰りの強行日程は、決して楽ではない。しかし、その大変さを補って余りある、ひそかな楽しみがある。それは、実家で食べる「刺身と寿司」である。
帰省のスケジュールはたいてい、朝6時ごろ我が家を出て、9時ごろ実家に到着する。母と最近の出来事などを情報交換した後、「墓掃除したい」「病院に連れて行って」「買い物がある」など母の用事を午前中に終わらせる。そして、用事の締めに、近所のスーパーで、お待ちかね「刺身と寿司」を買い漁る。
母が大好きなアジに始まり、ブリ、カンパチ、タイ、イカなど。大分県産の新鮮なネタを次々購入。どれも切り身が分厚く、食べると歯応えプリップリ。かつ、安い。こんなに新鮮で美味しい「刺身と寿司」が、近所のスーパーで安く買えるのだから、大分恐るべし。母の方も、いつも宅配の弁当なので、私と寿司を食べるのを楽しみにしている。毎回「生きててよかった」とご満悦だ。
今回も海の幸にしっかり舌鼓を打った後、母から「家の名義を変えんといけんのやろ? 固定資産税の封筒に通知が入っちょった」と質問があった。父亡き後、実家の名義変更がまだ終わっていなかった。私は内心「お、郵送された書類の意味がきちんと分かっているじゃん。デイサービスにも週1回ちゃんと通っているし、認知症はまだまだ心配ないな」と、母の対応に胸をなで下ろした。そして、私からも相続登記義務化の説明をした。
すると、「なら、(名義変更を)だれかに頼まんといけんなあ」と母。おっと、母よ。あなたの息子はそういう仕事をしているのだよ。そろそろ覚えてくれんかなあ(笑)。(山下)

