『一日一笑』

  • 原油危機と老いるショック

    原油危機と老いるショック

    ”老いぬとてなどか我が身を責めきけむ

    老いずは今日にあわましものか”

    これは平安時代の歌人である藤原敏行が詠んだ歌である。

    老いを嘆いていた過去の自分を振り返り、

    長生きしたからこそ今日という

    素晴らしい日(長寿の祝いや晴れ舞台)を迎えられた、と

    喜びと感謝を詠んでいます。

    また、時代は変わって現代の漫画家・イラストレーターである

    みうらじゅんさんが提唱する

    「老いるショック」「老け作り」「アウト老」

    という「老いの3段活用」にも

    藤原氏の歌と同じ風情が感じられます。

    どうも世間では「老いる」ことをネガティブに報じる

    風潮があるようですが、

    時を思う樹木のように

    年輪の数だけ、

    風雪に耐えた傷の数だけ、

    その表情は豊かとなり、味わいを増していくように思います。

    人生100年時代といわれる現代。

    1000年の時を超えて興じる、先人たちとのキャッチボール。

    亦た楽しからずや

    (市原)

  • 介護の貢献「寄与分」

    介護の貢献「寄与分」

     遺産分けの協議の場面で、親の介護を頑張った人と、そうでない人が「均等」というのには納得いかない! そんな相談をよく受ける。そういった場合に、亡くなった人に対する療養看護を行った貢献のことを「寄与分(きよぶん)」といい、その貢献度に応じた金銭を請求することができる、という仕組みがある。

     この寄与分、かつては相続人にしか認められていなかったのだが、2018年の法改正で、その範囲が「親族」に広がった。具体的にどういう人が新たに対象となったかというと、いわゆる「長男の嫁」に代表される、「義理」関係の一部の人。例えば「長男の嫁」が、相続人に対して、義理の親の介護の貢献に対する金銭「特別寄与料」を請求することができるのだ。

     ただ、いくつか条件がある。介護を「無償で」行っていたか、とか、この親族が看護・介護してくれたおかげでヘルパーを依頼する費用を免れたなどの経済的利益が相当程度あったのかどうか、などが考慮される。具体的な寄与料は、介護日数×介護報酬相当額×裁量割合という計算式で算定される。介護報酬相当額というのは、仮に介護保険を利用した場合にかかったはずの専門家への報酬額、裁量割合というのは、親族の実際の看護・介護が介護の専門家(プロ)の仕事に対してどの程度の仕事と言えるのかの割合のこと。

     これをまずは、当事者間で協議する。請求の期限は、「相続の開始及び相続人を知った時から6カ月、または相続の開始の時から1年」となっている。当事者で協議がまとまらなければ、「特別の寄与に関する処分調停」を家庭裁判所に申し立てることができる。遺産分割とは、別の手続きであることにも注意。

     ただ、どれだけ介護を頑張ったかを主張するには、それを裏付ける資料が大事。領収書の保管や日々の介護記録をノートにつけておくことなどが必要だろう。でも、こうした制度があるとはいえ、特別寄与の主張も、その後の親族関係への影響が心配なところ。結局、この問題も、親が生前から、「長男の嫁」的な立場の人の貢献に対して、言葉掛けや金銭的な心付けを行ったり、あるいは、遺言書の中で、財産的な贈与を含む「気持ち」を表現したりすることで、円満な幕引きに持っていくことは可能だろう。相続って、普段からの、親子間、きょうだい間のコミュニケーションの問題に、やっぱり行き着くんだよなぁ。(山下)

  • 最後のラブレター

    最後のラブレター

     「ラブレター」という響きに、なんとも言えない恋慕の情をくすぐられるのは、50歳前後の世代までだろうか。しゃれた便箋と封筒を買って、好きな人を思いながら、自分の気持ちを文字にする。でも、なかなか文章がまとまらなくて、書いては破り、読み返しては捨て。そんな光景が懐かしい。今の子たちはラブレターを便箋に書いたりするのかな。

     遺言書は「最後のラブレター」と呼ばれることがある。その理由は、遺言書の中に、家族や大切な人へのメッセージを残すことができるから。遺言書は、自分自身が亡くなったときに残った財産を「だれに、何を、どのくらい」引き継ぐかをまとめた主要部分と、その続きに「付言事項(ふげんじこう)」といって、遺産の配分を決めた理由や、家族や大切な人への感謝の気持ちなどを、自由に記すことができるスペースが設けられている。この付言事項の部分を活用して、まさに「ラブレター」をしたためるのである。

     「いつも笑顔で接してくれてありがとう。伝えきれないくらい感謝の気持ちでいっぱいです」(妻へのメッセージ)
     「(長男と長女)2人とも私の大切な宝物です」
     「今後は私に代わり私の最愛の妻をよろしく頼みます」(子どもたちへの呼びかけ)(以上、あかりテラス相続ハンドブックより)

     夫、妻、子ども、親…家族であっても、普段、感謝の気持ちを直接伝えるのは、照れくさかったりしてできないこともあるだろう。であれば、遺言書という形ではあるけれど、本人が亡くなった後、本人が伝えたかった「ありがとう」や「大好き」を「手紙」で届けよう。残された家族はきっと喜ぶはず。そして、それは、遺言書の役割である相続手続きが終わっても、家族の心の支えとして、ずっと生き続けるだろう。遺言書にラブレター。最後にどうしても伝えておきたいことはありませんか。(山下)