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  • 笑って、鍛えて

    笑って、鍛えて

     会場の外まで笑い声があふれ出していた。熊本市中心部にある屋内施設の一室。そこでは、高齢者が参加する健康運動教室が開催されていた。

     笑い声の中心にいたのは、健康運動指導士の西田仁美さん。参加者のトレーニングを指導するインストラクターだ。西田さんの指導はいつも、楽しく笑いながら、体を鍛えられるとあって、以前、あかりテラスの終活セミナーにも協力していただいたことがある。私たちともご縁がある先生だ。

     「あと一センチひざを高く上げて」。西田さんの指導は、ちょっとだけスパルタ。スクワットやかかとの上げ下げなど、50代の私でも結構負荷のかかる筋トレやストレッチを次々に行い、参加者は、それに必死についていく。すると、「眉間にしわよってるよー」と西田さん。その一言に、参加者の頬もゆるむ。

     「1、2、3、4」と数字をカウントしながら、同時に手をたたいたり、両手を高く上げたりする、脳トレを組み合わせたリズム体操では、なかなか数字と動作がかみ合わず、皆大笑い。こうした運動を、みっちり1時間。途中から急きょ参加した私も清々しい汗をかいた。しかも、足の筋肉はパンパン。日頃の運動不足をちょっとだけ解消できたかも。

     このメニューを、週1回行っているという。道理で、参加者の皆さんの表情がとてもいきいきしているわけだ。運動と、笑いと。介護にならないよう、健康づくりを楽しんでいる様子がとても印象に残った。

     ちなみに、なぜ私がその会場にいたのかというと、西田さんの運動指導に続いて、終活講座を担当したから。私も事前に体を動かし、しっかりウオーミングアップができていたからか、いつもより講座のおしゃべりが調子良かった? (山下)

  • ひと安心(作戦その⑤)

    ひと安心(作戦その⑤)

     母がついに3月から、デイサービスに通い始めた。週に1回。午後からの半日。送迎付き。「行き始めてよかった」と母。この言葉が聞けただけで十分。

     先日、実家に帰省したついでに、デイサービスの施設を見学した。すると、入り口に、母が描いた俳画の作品(写真)が並んでいた。利用者がくつろぐオープンスペースに進むと、実家の近所の人がいて、母はすでに友達になった様子。あいさつもそこそこに、談笑を始めた。職員が近づいてきて、検温、血圧の測定も行われた。

     職員によると、フロアにある10種類ほどの筋トレマシーンを、母は順々に回って、トレーニングを行っているとのこと。トレーナーの指導のもと、不安のあった下半身だけではなく、上半身も精力的に鍛えているらしい。

     施設にいる3時間ほど、受け身ではなく、自分から人と関わり、そして、トレーニングを行い、とても充実した時間を過ごしているようで、安心した。

     もろもろの老化現象の進み方を少しでも緩やかにしたいと始めた、母の介護サービス利用大作戦。母はまだ実際には「要支援」にも満たない状態なのだが、交通手段を持たず、日中家にこもりっきり。認知症とみられる言動もちらほら出るようになり、さらに、今年に入って、山の中にあるお墓の前で転んだ。足腰も年相応に弱ってきた。

     「まだまだ元気」と意地を張る母の、プライドを損ねないように、最大限の気を遣って「作戦」を進めてきたが、なんとかここまで漕ぎ着けた。体を鍛え、いろんな人たちと関わる。この点を意識して、目標は「元気で長生き」。これからも、少し離れた熊本から母の様子を見守りたい。(山下)

  • ケアマネさんがやって来た(「作戦」その③)

    ケアマネさんがやって来た(「作戦」その③)

     実家にケアマネさんがやって来た。母に介護保険証が届いて最初の面談。本人の様子の確認と、今後どんなサービスを利用していくのかの希望調査といったところだ。

     母の現状はおおむね元気で、今回の要介護認定では、「要支援」にも該当しなかったため、自治体独自の事業を利用する。耳がとても遠いものの、集音器を付けて、質問されたことにテキパキ答える母に、ケアマネさんも「とてもお元気ですね」と太鼓判を押していた。

     とはいえ、介護(介護予防)サービスの利用に踏み切ったのには、大きく2つ理由がある。

     一つは、下半身の筋力強化。ここ数年、自宅周辺で数回転倒し骨折、入院を繰り返した。今では普通に歩けるようになっているが、今後そうしたリスクを回避できるように、足腰を鍛えていければと考えている。

     もう一つは、認知症の進行を遅らせる、あるいは、止めること。年相応に物忘れもするし、時々妄想、幻覚、幻聴を訴えることがある。自動車の運転は元々しないし、家の近所に公共交通機関もないため、買い物や通院にもタクシーが必要になる場所に住んでいる。そのため、一日中家に閉じこもっていることが多い。

     そこで、週に1回でも、外に出て、人と交流する機会を作る。そうすることで、気分も晴れるし、脳の機能を活性化できるだろうと考えている。

     ケアマネさんの面談も順調に終わり、利用する介護サービスの内容と事業所も決まった。次回は、その事業所さんとの打ち合わせを行うことになった。

     一方、気になることがあった。母に介護サービスを利用してもらう今回の「作戦」を遂行する上で、最初の窓口となった「地域包括支援センター」(以下、「地域包括」という。)で、私は、母の状況を詳しく伝える中で、母が機嫌を損ねるNGワードを強調してお伝えしていた。「その名前だけは、出さないで。母が警戒するかもしれないので」と。

     そのNGワードとは、以前入院していた「病院名」なのだが、そこで母は嫌な思いをしたらしい(これもたぶん妄想だと思われるのだが、本人からしたら「現実」で、私に時々そのときの「経験」を、さもあったかのように、事細かに訴えることがある)。この日のケアマネさんは、地域包括から紹介されたのだが、そのNGワードを面談の際にぽろっと口にしてしまった。

     私は慌ててごまかしたが、ケアマネさんはそれが「NGワード」とは知らなかったようだ。引き継ぎを受けていなかったらしい。しかも、この日実家の住所の番地を地域包括から事前に聞いておらず、直前に私の携帯に電話がかかってきて、私が誘導した。そんなことある?

     本当はもうちょっといろいろあるのだが(笑)、小言はこの辺で。いずれにしても、母の介護サービス利用大作戦は、いたって順調。母が目的をきちんと理解し、今の自分に必要なことだ、と納得して、サービスを利用しようとしていることを、とてもうれしく思う。(山下)