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    八千代座で漫才

     あの「八千代座」で、漫才をしてきました!

     坂東玉三郎や市川團十郎といった著名な歌舞伎俳優と同じ舞台に立つとあって、出番前から緊張感MAX! 私も相方のパプリーさんも、マイクを持つ手が小刻みに震えていました。そして、いざ幕が開くと、今度は、スポットライトが強すぎて、来場者の表情がほとんど見えずに戸惑いました。ただ、それでも光の向こうから笑い声が館内に響き渡り、それを聞いて、楽しんでもらえていることが分かって、少し落ち着きました。客席が全く目に見えない分、音でその反応を感じるというとても新鮮な体験でした。

     今回の漫才は、私の祖母の演歌歌手デビュー40周年コンサートの、1ゲストとして呼んでもらいました。祖母は普段、合志市を中心に活動しています。私は幼い頃から祖母のコンサートに同行し、CDやカセットテープ、グッズ販売のお手伝いをしました。そして、ステージに立つ祖母を、客席や舞台袖から見つめていました。小さい頃、ステージ上の祖母に向かって走り寄り、「ばぁちゃん、がんばれー!」と叫んだこともあります。祖母は、歌いながらこちらに気づき、優しく手を振り返してくれました。

     私はいま27歳となり、今回初めて祖母と同じ舞台に立つことができました。しかも、場所は、長い歴史と多くの名舞台を刻んできた八千代座。「祖母と同じ空間で、お客様の前に立つ」ことが夢のようでした。こんなにうれしいことはありません。

     そして、祖母の歌声は、幼い頃に聴いたのとはまったく違って聴こえました。力強く、深く、そして説得力がある。40年という年月の積み重ねが、その一音一音に宿っているように感じました。舞台に立つ姿には、芸道を歩み続けてきたプロとしての風格があり、同じ表現者として、学ぶべきことが本当に多いと実感しました。

     祖母の代表曲である「火の酒」のワンフレーズ、
     「あんたにゃわたしがついとるけん」。

     小さい頃はその言葉の意味を深く考えることはありませんでした。しかし、大人になり、結婚した今あらためて聴くと、この一言に込められた想いの強さと優しさに心を打たれます。人生を共に歩む覚悟や支え合う気持ちが、まっすぐに伝わってくる、本当にいい歌だと感じました。

     これまでずっと背中を見てきた祖母と、同じ舞台に立てたこと。それは、ひとつの節目であり、同時に新たなスタートでもあると感じています。この舞台で得た経験は、間違いなくこれからの自分の糧になります。そして何より、「続けること」の強さを、改めて教えてもらった一日でした。(ひゅうま)