「遺言書が必要な人は?」と聞かれたら、私はこう答える。「すべての人です」。
「遺言書を作っておいた方がいい人」の、一般的なイメージは、例えば「財産をたくさん持っている人」とか、「家族仲が良くない人」とか、を思い浮かべるだろう。もちろん、そういった人たちも作っておくべきだ。だが、私は、あえて「すべての人」が遺言書を作るべきだと考えている。財産が多かろうが少なかろうが、家族仲が良かろうが悪かろうが、である。
なぜか。その理由は、「残された家族の負担を大きく軽減できるから」である。人はいつか必ず亡くなる。その時、財産が多かろうが少なかろうが、「相続」は必ず起こる。当然、残された家族が、相続の手続きをしなければならない。
この手続きを進める上で大きなハードルとなるのが、「遺産分けの話し合い」である。遺言書がない場合は、亡くなった人が最後に残した財産(遺産)を、家族のうち、「だれが、どのくらい」引き継ぐのかについて、家族同士で話し合いをしなければならない。この「話し合い」自体が、家族にとって負担になることが多い。だって、「自分はどのくらい欲しい」みたいな主張って、いくら家族とはいえ、言いづらくないだろうか? さらに、互いの意見が食い違えば、最悪紛争に発展してしまう。
その点、遺言書があれば、遺言書に書いてある通り、財産が引き継がれる。遺言書を作る人が、しっかり家族のことを考えて、「こんな風に分けなさい」と、自身の考えを書面で残していれば、家族はそれに従わざるを得ない。なぜなら、遺産は、その人がこれまで自分自身で築いてきた財産なのだから。その遺産を、だれに引き継いで欲しいかが、ちゃんと遺言書で示されていれば、家族だって納得せざるを得ないだろう。
今の時代、亡くなった人の遺産は、それを相続できる人とその割合が法定されていて、それに該当する人は、相続できてしまうことが「常識」となっている。そうではなくて、財産は「必ず遺言書を作って残す」ことが「常識」となり、遺言書を作った人の希望通りに財産を承継できることが当たり前の世の中になればいいなと思う。(山下)

