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  • 「ふるさと」とのつながり

    「ふるさと」とのつながり

     「孫にも土地をあげることにしました」。遺言書を作成中の、高齢の女性から連絡があった。当初の打ち合わせでは、不動産はすべて地元にいる長男に継がせる予定だった。「孫」とは、東海地方にいる、亡くなった二男の娘。理由は、「熊本とのつながりを持ち続けてほしいから」という。

     孫は、夏休みや冬休みといった長期休暇のたびに、熊本に一人で飛行機に乗ってやってきた。コロナ禍のころは、学校が休みの間、数カ月間ずっと、熊本の祖父母宅で生活したという。地域の公園で遊んだり、実家近くの土地に植わっている木の実を集めたり、また、地域のお祭りに参加し、住民らと一緒におにぎりを作るお手伝いをしたりして、近所の人たちからもよく可愛がってもらっているそうだ。「今年も帰ってくるのよ」と女性は目を輝かせる。

     この思い出の土地の一部を、長男だけでなく、孫にもあげたいという。二男の急逝により、この孫にも相続権がある。ただ、土地といっても、山あいの地域。不動産の経済的価値だけで考えると、その土地はお世辞にも「もらってうれしい」土地とは言えない。今どき、どちらかといえば、「引き継ぎたくない」と言われてしまうような場所だ。

     でも、孫にとっては、亡き実父のふるさと、自身のルーツの場所である。思い出もたくさんある。女性は孫を思い「私が亡くなった後も、いつでも熊本に来ていいんだよ」と涙ながらに話した。そのしるしとして、女性は孫に土地を託すことにした。女性の思いはきっと孫に届くだろう。土地とともに、女性の思いも、次代に引き継がれていく。(山下)

  • 不安をあおる

    不安をあおる

     今日相談に来たお客様。とある専門家から「このまま何もしないと、相続でもめますよ」と言われ、強く遺言書の作成を勧められてきたという。なぜそう思うのか? その家庭のことも知らないだろうに。というか、不安をあおって契約させるなんてやめてくれと思う。

     私の場合は「このまま遺言書がなくて相続を迎えたら、〇〇さんと遺産の分割のお話しできそうですか? どんな話し合いになりそうですか?」などと具体的にイメージしてもらうことから始める。それでも実際には「話してみないとわからない」というのが答えのはずである。

     備えあれば憂いなしだが、そもそもどうなるかわからない未来に対して備えをしていくわけだから、もしかしたら遺言書など必要なかったということになるかもしれない。

     人は、痛みを避けるときに行動をしやすくなるという。だから不安をあおるわけだが、根拠もなくあおってくる専門家はただ不快にさせるだけである。

     私たちの商品のほとんどは形のないものであり、「安心」を買ってもらっているのだから、納得して購入してもらわなければならない。(宮村和)

  • 空き家も「相続問題」

    空き家も「相続問題」

     熊本市北区役所清水まちづくりセンター主催の、「空き家」をテーマにしたイベントに招かれ、相続漫才を披露した。

     イベントでは、A校区の地域住民が行った空き家の実態調査の報告など、熊本市の空き家の現状が紹介された。その中で、熊本市が2018年に倒壊の恐れのあるなど「危険」と認定した空き家が105件あり、その後、2023年までの間に、解体・処分などの対応が完了した空き家が39件、残る66件は未だ対応中とのこと。また、その「対応中」の半数ほどはすでに所有者が亡くなり相続が発生、相続人が複数いて手続きが進んでいないという。中には、相続人が30人以上に上る案件もあったそうだ。

     空き家になる原因は、「相続が未解決」であることが多いと、私自身も感じる。空き家になるタイミングとしては、①家主が高齢で自宅での生活が難しくなり病院や施設等に入るとき②亡くなったとき、という大きく2つのポイントがあると考える。もし家主が不在で、その後だれも住まない状況が続くのであれば、その2つのタイミングで、速やかに処分ができるように、事前の準備をしておくことがカギを握っている。

     ①については、家主(所有者)本人がその時点で重い認知症になっていると、「家・土地を売りたくても売れない」という状況が発生する。なぜなら、「売却する」には本人の意思判断能力が必要で、認知症になっているとその能力がないとされ、売買契約が結べないのだ。その状況を回避するために、家を処分する権限を、あらかじめ、例えば子どもなどに委ねておく「家族信託」を活用することがある。

     一方、②については、相続人同士が財産の分配をめぐって争うことがないように、「遺言書」の準備をしておくことが効果的。遺言書があれば、遺言書に書かれてあるとおりに財産が引き継がれ、相続手続き及び空き家の売却もスムーズに進められる。

     空き家になると、所有者及びその家族にとっては、管理が大変になるデメリットがあり、同時に、その近隣の地域及び住民にとっては、老朽化による倒壊や庭の草木の手入れ不足など環境面等の悪影響が出る。「空き家」という視点から見ても、相続への備えが重要である。(山下)