今日はちょっとマニアックな「姻族関係終了」について。「いんぞくかんけいしゅうりょう」と読む。簡単にいうと、夫婦の「義理」の関係を終わらせること。例えば、夫婦のうち、夫が先に亡くなったときに、妻が、夫側の親族との縁を切ることができる。
何のためにこんなことをするのか? 夫が存命の間、妻が、夫の両親と長年同居してきたような家を想像していただければいい。夫にとっては、実の親。でも、妻からしてみたら、義理の親。嫁姑(しゅうとめ)の関係は、必ずしも良好とばかりいえない。むしろ、姑からのいじめ、嫌がらせなんて話は、ドラマでもよく登場する筋書きだ。
その状況で、夫が早世した。この後、妻はそのまま義父母との同居を続けるのか。義父母との関係が良くない場合は、その点思い悩むだろう。民法730条には「同居の親族は、互いに扶(たす)け合わなければならない」とあり、同居する以上は、扶養する義務を定めている。
こういった状況で、妻が、義父母や義理の兄弟姉妹との縁を切るための制度が、「姻族関係終了」である。役所で「姻族関係終了」の届出用紙を取得し、提出するだけ。だれの承諾もいらない。夫側の家族と縁を切ることから、「死後離婚」と呼ばれたりする。
先日のセミナーで、「姻族関係が終了しても、相続権はあるのか」と質問があった。質問者以外、参加者一同、「何それ?」とキョトンとしている。私は「姻族関係終了とか、よく知ってますね」と切り返し、会場の皆さんに、まず内容を説明。その上で、「相続権はあります」と回答した。夫の相続人としても関わりたくない場合は、家庭裁判所で「相続放棄」の手続きも別途必要となる。
以前も、この話を講座・セミナーでしたことがあるのだが、参加者の女性陣の姿勢が一気に前のめりになったと感じたのは、私の思い過ごしだろうか。(山下)



