タグ: 実家の相続

  • 家を継ぐのは妻(母)か子か

    家を継ぐのは妻(母)か子か

     自宅の土地・建物の所有者である80代の男性が亡くなった。この家の名義、80代の妻(母)が引き継ぐべきか、それとも、50代の長男が継ぐべきか。

     答えとしてはどちらも「あり」なのだが、家族の状況によって、どちらを選択した方がいいのかが変わってくるので、整理する。

    【80代の妻(母)が継ぐ】
    〈メリット〉
    妻(母)の納得感が大きい=妻(母)にしてみれば、家は、夫と2人で築いた大切な財産。夫の死後、その権利を引き継ぐのは「当然自分だ」という気持ちは理解できる。「子どもには自分(妻)が亡くなってから渡せばいい」との声もよく聞く。

    〈デメリット〉
    手続きが2回になる=妻(母)への名義変更のあと、一般的には、近い将来、妻(母)の相続がやってくる。すると、今度は、妻(母)から子への名義変更を行うことになる。最終的に子へ名義が変わるのなら、最初の夫の相続の時に、子へ名義を変えれば、手続きが1回で済む。
    妻(母)が認知症になったら家が売れない=夫の死後、妻(母)が施設に入所することもあり得る。その際、自宅は空き家になるので、売却して、お金に替えて、次の施設での暮らしにそのお金を使う、という例もよくある。その売却の際、妻(母)が重い認知症になっていると、家の名義を持っている妻(母)が「判断能力なし」として、売買契約を行うことができなくなる。

    【50代の長男が継ぐ】
    〈メリット〉
    手続きが1回で済む=80代の夫→妻(母)へ名義変更すると、近い将来、また、妻(母)→子への名義変更をしなければならない。それを、80代の夫→子に名義を変更すれば手続きは一度で終わる。
    妻(母)が認知症になっても実家の売却ができる=妻(母)が将来認知症になった時は施設に入り、空き家になった実家は売却する、というプランを立てる家族は少なくない。その際、長男の名義になっていれば、妻(母)の健康状態に左右されず、売却をスムーズに行うことができる。ただ、売却で得たお金は、長男の収入となるため、税金面等での懸念は残る。

    〈デメリット〉
    固定資産税が発生する=名義を引き受けた人に、翌年から固定資産税の請求が来るようになる。長男が持ち家をすでに持っているような場合、実家と合わせて2件分が請求される。ただ、実家の分は、80代の妻(母)が支払うという方法もある。
    長男が勝手に売ってしまう=長男の名義になってしまえば、その実家をどう利用しようと、場合によっては、処分しようと、名義を持っている長男の一存で決めることができてしまう。あまり考えたくはないが、80代の妻(母)の意に反して、長男に実家を売られてしまって、妻(母)が住む場所を失う、という可能性も否定はできない。

     先日の相談会では、同じ日に、同様の相談が、2件続いた。1件の家族は、「子が継ぐ」、もう1件は「妻(母)が継ぐ」と、結論が分かれた。どちらが正解ということはない。上記のメリット、デメリットを家族でよく検討して、後悔のない結論を出してほしい。(山下)