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  • 「1点もの」の時代

    「1点もの」の時代

     クラシックバイクの査定額が、700万円! 相談者の財産目録を見て驚いた。曰く「こだわりの『1点もの』の車やバイクは、世界中で高値で取引されている」という。

     私も仕事柄、亡くなった方の「遺品整理」の手伝いをすることがある。その時、故人が大切にしていた「お宝」の話がよく出てくる。絵画、掛け軸、陶磁器、家具、ブランド品、着物、家電などなど。「高価買取」のチラシも最近よく目にするし、家族からすると、「売却すれば、そこそこの値がつくのでは」と期待するが、大抵の場合、二束三文であることが多い。最悪「ゴミ扱い」されることもあり、「お宝」の処分の難しさを日々実感している。

     一転、クラシックバイクは、話が違うらしい。愛好者が集うイベントは、日本中あちこちで開催され、自慢のバイクを披露し合っているという。また、やむなくバイクを売る場合も、専門のオークションサイトがあって、世界中から買い手が集まるようだ。

     相談者のバイクも、アメリカからの輸入品。それに、自分好みのパーツをつけたり、チューニングをしたりして、こだわりの「1点もの」に仕上げる。ただ、そのバイクは日々乗り回すわけでなく、毎日車庫でエンジンをかけて、「音」と「ビジュアル」を楽しむとのこと。乗るのは、イベントの時だけ。しかも、会場まで車でバイクを運ぶそうだ。何となく気持ちは分かる。

     フェアレディZ、GT- Rなど、販売終了した日本の旧車も、いま世界中で人気があるそうだ。かつての大量生産の時代から、他にはない、替えが効かない、「1点もの」の時代が、確実にやって来ている。好きなもの(こと)をどれだけ尖らせられるか。人間の生き方にも通じる話だ。(山下)

  • 遺言書作成をだれに頼むか

    遺言書作成をだれに頼むか

     遺言書の作成をする際、①自分1人で作るか②公証役場に行くか③司法書士や行政書士に頼むか。

     コスト面を重視すれば、低い順に①→②→③となる。①は、ネットの参照文を見たりしながら作れないことはないだろうが、内容が法的に問題ないか不安が残る。

     ①に比べ、②は法的に問題ないものができるが、遺言の作成者やその家族にとって、本当に最善の内容になっているのか(財産が渡った後の配慮やもめないための工夫など)について、公証役場側が作成時にどこまで説明したり、提案したりされたか、といった点まで考えると、なかなか難しい面もあるだろう。

     この日の相談は、子どものいない夫婦が、公証役場で、お互いに遺言書を完成させたケースだった。夫死亡時は全て妻に、妻死亡時は全て夫に。遺言書がない場合は、それぞれの兄弟姉妹に相続権が発生するため、子どものいない夫婦は遺言書がマスト。ここまではよかった。

     しかし、それだけでは足りない。なぜなら、夫婦であれば、通常どちらかが必ず先に亡くなる。たとえば、夫が先に亡くなった場合、次の妻の時は、遺言書に「全て夫に」と書いてある。しかし、その時すでに夫はこの世にいない。妻が遺言書で渡したかった夫がいない場合は、通常相続となり、妻の兄弟姉妹(親はいないと仮定)に相続権が発生する。

     今回は、兄弟姉妹に絶対相続させたくないケースだった。その場合は、「妻が先に亡くなっていた場合は次に●●(たとえばお世話になった人や団体など)に渡したい」という「第2希望」を、最初の遺言書の中にきちんと入れておかなければいけなかった。公証役場で作っても、この点が見落とされた。近々作り直しを検討するという。

     結局、遺言書を作る人と経験豊富な専門家とがじっくり話をしながら、いろんな状況を想定して作成できる③がおすすめだし、さらに言うと、③→②のコースなら万全。

     遺言書の内容は、家族ごとに「正解」が異なる。家族の状況も違えば、財産の内容も違う。遺言書の最大の価値が、遺言を作る人の希望を最大限反映し、同時に、将来の家族が円満に生活できること、とを両立させることにあるならば、多少費用を投じてでも、専門家と一緒に作り上げることを推奨したい。(山下)