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    長男の責任

     今回の相談者A男さん(80代)は、6人きょうだいの長男。一人暮らしで子どものいない妹のB子さんについて、今後準備しておいた方がいいことを聞きたいという。B子さんには、最近認知症の症状が出始めたらしい。

     聞くと、A男さんは、B子さんの生活を気遣い、車で15分ほどの距離を、ほぼ毎日通っている。こうした世話がいつまで続けられるか、自身も高齢になり、不安を募らせているとのこと。この日の相談には、A男さんの亡き弟の息子C男さんも同席していた。「C男にも身内の事情を知っておいて欲しくて、来てもらいました」

     A男さんは、障害をもち、施設に入所中の、別の妹D子さんの世話もしているという。自身の生活もあるだろうに、きょうだいのために尽くし、将来を心配して、こうして相談にまで来られる姿に頭が下がる思いだ。

     B子さんの話に戻る。A男さんは「B子にはできる限り自宅で生活させたい。だが、今後施設に入るようなことになったとき、身元引受人にだれがなるのか、通帳管理はだれがするのかなど、課題が多い。自分ができる間は自分がやるが、できなくなった時について、今のうちに考えておきたい」

     同席のC男さんに聞くと「自分にも、自分の仕事や家族があり、将来は母や妻の親も見ていかないといけない。どこまで(B子さんの)世話を手伝えるか分からないが、できる限りのことはやりたいと思っている」。正直な気持ちだと思う。

     まだ時間はある。今のうちなら、いくつかの選択肢を考えることができる。私は、その一つ、家族信託という対策について説明した。内容を理解してくださり実際に進めるかどうか、今後検討することになった。

     A男さん自身は、すでに遺言書を作っているという。自分が亡くなった後に、家族が困らないように、先々を見据えて、そして、行動に移す。いささか古い発想かもしれないが、昔ながらの「長男」像を垣間見た気がした。(山下)