「任意後見はいつから始めたらいいのですか?」。先日の相談会で、任意後見制度の相談がありました。
任意後見制度とは、簡単にいうと、自分自身が衰えたときのお世話を頼む「サポート役」を決めておく予約システムです。「将来、もし認知症などで判断能力が衰えてしまったら、自分のお金や生活はだれが面倒見てくれるのだろう?」。そんな不安を解消するための心強い制度です。任意後見制度は、自身とサポート役との間で結ぶ契約ですので、元気なうちしかできません。
先日ご相談をいただいた方はまだ若くお元気であられたので、いつからはじめるべきかというご相談でした。
人生いつ何が起こるかわかりません。
私の父は50代後半から若年性アルツハイマーの症状が出はじめ、65歳で亡くなる前の数年間は、まったくコミュニケーションが取れない状況でした。父の状況を見ていると、判断能力が落ち始めてからでは、任意後見や相続といった、自分の身の回りの対応について考え、行動に移していくのは難しいのではないかと感じます(もちろん症状は人それぞれかと思います)。
ただ、何が起こるかわからない人生においても、元気なうちであれば、遺言書や任意後見などの事前準備を行なうことはできます。「何かあっても大丈夫」という心の余裕は、人生を豊かにしてくれる大切な要素だと思います。
起こっていないことに不安を感じるより、事前に準備を進めて、家族や趣味など自分の人生にとって価値があることを考える、行う時間に充てることで、より幸せな人生を過ごせるのではないかと考えます。
私自身はすでに遺言書を書いています。これで、子どもに対する責任を一つ果たせたのかなと思っています。私に万が一のことがあった場合は、その遺言書が彼女の人生に事前準備の大切さを伝える最後の教育となると思うからです。
いくつであっても、人生最後の瞬間がいつ来るかはわかりません。
今回の相談は、私の父が人生を賭けて教えてくれた事前準備の大切さを、今度は、私が人生を賭けて私の子どもに伝えていきたいと、改めて考えるきっかけとなりました。「遺言書を書くことが当たり前の世の中をつくる」という言葉を実現するために、今後も活動していきます。(宮村聡)

