なぜ山林を引き取るのか

 あかりテラスでは、山林など相続で引き継ぎたくない、いわゆる「負の不動産」を有料で引き取る事業を行っています。

 負の不動産を相続させたくない、または相続したくない、という相談はこれまでもかなりの数がありました。林業や農業の後継者は少ないですし、山やそこにある立木が価値があるという時代ではなくなっています。多くの方が、相続しても維持管理活用はできないし、そもそも、その地域に所有者及びその家族が住んでいないことがほとんどです。

 では、そのような相談者に対して、私たち司法書士は今までどのように答えてきたのでしょうか。「なかなか処分は難しいですね。近所の方や行政、森林組合、農業委員会等に相談してみられてはいかがでしょう?」。自分たちとは関係のない分野。他の「窓口」を紹介して、あとは、たいてい知らんぷりです。

 相談者の方も、そう言われて、各所回ってはみたものの、近所の方も、関係ありそうな、行政や機関も、引き取り手をつなげることはほとんどできません。たらい回しにあって、結局打つ手なし。そうなると、相続人は仕方なく「負の不動産」を相続せざるを得ず、これまで通り、固定資産税のみ支払いを続けるしかありません。同時に、所有していた土地に不法投棄がなされたり、自然災害を引き起こした場合の責任などのリスクも引き継いでいかなくてはいけませんでした。

 こうした現状をふまえて、国も「相続土地国庫帰属制度」という制度を作りましたが、国が引き受ける際の条件が厳しく、なかなか利用されづらいと言われています。国が制度をつくってくれたことには感謝しています。今後利用されやすくなることを期待しています。

 そこで、私たちのような民間事業者が立ち上がります。引き取り料を所有者側からいただくことにはなりますが、維持管理、利活用のできない方に代わり、私たちがその方法を模索します。引き取り料は決して利益になるわけではありません。将来の維持管理費に使われます。

 ただ、私たちも、引き取った土地を、ただ眠らせておくのはもったいないと思っています。知恵を絞り、「負の不動産」が「宝の山」に変わる利活用の仕組みを作れないかと考えています。特に、引き取った土地周辺の住民を巻き込んで、いま失われてしまった「人と人との絆」「地域のつながり」を再生できないか。もちろん、簡単ではありませんが、課題が難問であればあるほど、挑む価値があるというもの。そうした心意気が、ひいては「日本の山、水源、食料を守る」ことにもつながっていきます。こんな私たちの想いに共感していただける方は、ぜひ、一緒にやっていきましょう。協力してくれる事業者も大歓迎です。(宮村和)