相続の手続きで、期限が設けられているものが、主に「3つ」ある。「3つしかない」とも言える。家族が亡くなられて「相続の手続きを急いでしないといけないんでしょ?」と、葬儀後まもなく、相談にくる人もいるが、とりあえずこの3つだけ押さえてほしい。
◎期限その①「3カ月」‥相続放棄
亡くなった方に借金があるような場合、相続人がその借金を相続しなくて済むように、「相続放棄」の手続きを取ることがある。相続放棄の期限は、民法915条で「自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内」とある。3カ月は相当短い。借金などマイナスの財産が、預貯金などプラスの財産を上回るかどうか、故人の預金通帳の返済履歴や消費者金融からの郵便物等で、早めに判断する必要がある。また、故人の配偶者や子が相続放棄した場合、次の相続順位である、親や兄弟姉妹に、相続権が移ることにも注意が必要。その人たちも順次相続放棄の手続きをしなければならない。
◎期限その②「10カ月」‥相続税申告
亡くなった方がそれなりの資産を持っていると相続税を納めなければならない。相続税は、故人の遺産が、基礎控除(3000万円+相続人数×600万円)を超える場合にかかる。その場合は、相続税法27条で「相続の開始があつたことを知つた日の翌日から10カ月以内」に相続税を申告をする必要がある。この10カ月も意外と短い。結構な量の資料を作成しないといけないので、申告は税理士に頼み、しかも、なるべく早めに相談に行くのが無難。また、税務署から請求書が来るわけではなく、自ら申告すべきことも要注意。
◎期限その③「3年」‥相続登記
亡くなった方が不動産を所有している場合、その名義変更をしなければならない。不動産登記法76条の2によると、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」に相続登記(名義変更)するよう規定されている。令和6年に始まった「相続登記義務化」。これに違反すると、10万円以下の過料が来ることも知っておく必要がある。
家族が亡くなった後、葬儀や法要、役所の手続き等で慌ただしく時が過ぎ、故人を悼む余裕がないとよく聞く。上記①はあまりゆっくりはしていられないが、3カ月以内に相続放棄をするかどうかの判断ができさえすれば、あと、財産的な手続き(銀行の預金を引き出すなど)は、仏式では四十九日を過ぎてから行うのが一般的。こうしたことを知っておいた上で、故人とのお別れや心の整理に時間を使ってほしい。(山下)

