前日のブログで、遺言書は「すべての人に必要」と書いた。中でも特に必要な人が「2人」いる。それは、「再婚の人」と、「子どものいない人」である。
それぞれ理由を説明する。まず「再婚の人」。こちらは、なんとなく察しがつくのではないだろうか。例を挙げると、A男さん(70)に、妻B子さん(69)がいて、前の妻との間の、子C男さん(40)がいるケース。
この先、A男さんが亡くなった場合、A男さんの相続人は、B子さんと、C男さんの2人になる。この2人。普段から交流があるというケースは少ないだろう。であれば、A男さんが亡くなったときに、この2人が、A男さんの遺産をどう分けるかの話し合いをするのは、非常に難しいことが想定される。もめるかもめないかも気になるが、それ以前に、そもそも関わり合いを持ちたくないのではないだろうか。
そうならないように、Aさんは、遺言書で、「どちらに、どれだけ遺産を渡すか」を決めて残しておくべき。B子さん及びC男さんにとって、遺言書の内容が満足とはいえなかったとしても、遺言書によって「2人で協議をしなくていい」という状態を作っておくことは、とても価値のあることだと言える。
一方、「子どものいない人」はどうだろう。太郎さん(85)と花子さん(83)の夫婦に子どもがいない場合を考える。将来、太郎さんが先立ったとき、太郎さんの遺産は、すべて花子さんが当然に受け取れるだろうか?
答えは「NO」である。もし、太郎さんに、弟次郎さん(82)がいた場合、太郎さんが亡くなったときの相続人は、花子さんだけでなく、「次郎さん」も該当する(太郎さんの両親がすでに亡くなっている場合)。夫婦で一生懸命築いた財産。夫が亡くなったときに、それを妻が全部相続するのは当然のような気がするが、遺言書がなければ、妻が全部引き継ぐために、兄弟姉妹(両親が生きていれば両親)の承諾が必要となる。
だから、太郎さんは「妻にすべての財産を相続させる」という遺言書を残しておかなければならないのである。以前実際にあった相談では、今回のような子どものいない夫婦で、夫の兄弟姉妹が7人もいたケースがあった。その人たちが、妻が全部相続することに、皆賛成するとは限らない上、もし、その兄弟姉妹がすでに亡くなっているような場合は、話はそれで終わらず、その子ども(つまり甥姪)も関係してくる。
残された家族の負担を少しでも減らすため、「すべての人」に遺言書。特に、注意したいのは、「再婚の人」と、「子どものいない人」。「家族に迷惑をかけたくない」のなら、即行動。遺言書を作っておこう。(山下)

