妻が先に亡くなったら…

 昨日の続き。遺言書を自分で書いた時の注意点の2つ目は、財産を渡したい人が、「自分より先に亡くなったら」という事態を想定しておくこと、である。

 例えば、夫婦に子どもが2人いるケースで、夫が「妻に全財産を相続させる」という遺言書を書いたとする。ただ「妻が先に」亡くなり、その後夫が亡くなった場合、遺言書によって妻に渡したかった財産は、妻がいないため、遺言書では遺産の処理ができなくなってしまう。結局、遺言書ではなく、子ども2人による遺産分割協議によって、夫(父)の遺産を分けないといけない。

 では、妻が先に亡くなった時点で、夫が遺言書を書き直せばいいではないか。確かにその通りである。ただ、そのときに、夫が認知症になっていたりすると、書き直しができないことも想定される。なので、今回の「正解」は、最初の遺言書の時点で、「自分より妻が先に死んだら、妻に渡すはずだった財産を、次だれに相続させるか」についてまで書いておくこと、である。

 夫が死んだら財産は全て妻に相続させる。ここまではいい。続けて、同じ遺言書の中に、「もし妻が先に亡くなったら、次は、長男に全て相続させる」という条項を入れておく。そうすれば、後で書き直す必要もないし、万が一、妻が先立ったときも、当初の遺言書にしたがって、遺産分けの手続きをスムーズに終わらせることができる。

 そして、昨日の復習、遺言執行者の指定もお忘れなく。当初の遺言執行者だけでなく、もう一人、「万が一」のときの遺言執行者をだれが務めるのかについても決めておこう。

 というわけで、昨日と今日の2回に分けて説明した、遺言書を自分で書いたときの注意点。改めてまとめると
①遺言執行者を指定する
②「万が一」のときに渡す人も最初の遺言書に書いておく
以上となる。ここまで出来ていれば、ほぼ完璧。なのだが、できれば、やっぱり、書き上げた遺言書を、一度専門家に見てもらった方が安心。せっかく書くのだから、残された家族が困らないような遺言書にしておくところまで、気を払って仕上げてほしい。次の世代への最後の贈り物なのだから。(山下)