カテゴリー: 相続相談の現場から

  • 親父にも聞かせたかった

    親父にも聞かせたかった

     村田工務店様の顧客向けのイベントにお呼びいただき、相続セミナーを開催させていただきました。

     セミナー終盤、質疑応答の時間で、参加者から、「親父にも聞いてもらいたかった〜」との一言。この感想、実は、セミナーの後にとてもよく聞かれる言葉なんです。子どもたちは、親に相続への準備をしてもらいたい、と思っている。一方、親は子どもたちで決めたらいいという(死ぬ準備という意識が強くて抵抗があるのかもしれませんね)。しかしながら、子どもたちが口を揃えて言うのは「兄弟姉妹で揉めたくない。揉めないでいいように親に決めておいてほしい」ということ。相続の準備は、家族が後で困らないように、元気なうちに大事なことを決めておくことなのです。

     私たちは、年間80会場以上、公民館や老人会など10名〜100名以上のどんな規模の会場でも、無料で出張講座・セミナーを開催してきました。この日は、同社の社長宅の応接間を使ってのセミナーでした。いつでも、どこでも伺います。正しい情報をお伝えして、円満相続を増やしていくためです。相続手続きで揉めてしまい、終わった後に「これで家族の縁を切ります」なんて言葉は、もう聞きたくないですから。(宮村和)

  • 正直に答えてくれない

    正直に答えてくれない

     相続人の中で、親の世話を中心的にしてきた人(以下、A側)と、そうでない人(以下、B側)とに大きく分けられる。きょうは、B側の人の話。

     B側の人の相談でよくあるのが、「A側が親の財産状況を公開してくれない」、あるいは、「公開された情報が本当なのか信じられない(もっとあるはずだ)」というもの。

     親の生前から通帳を預かったりして、財産管理を行っているA側の人たちが、親の死後も相続手続きをメインで進めることが多い。その際、預貯金の残高など詳細な情報を伏せて、例えば、A側の人が口頭で「預貯金は親の生活で使ってしまって残っとらん。家はこっちで継ぐけん、ハンコ押して」と言ってくるようなケースもある。

     遺産分けの対象は、主に、亡くなった時点で残っていた財産全て。なのに、どんな財産があったのかをB側にきちんと知らせないまま、遺産分割協議書にハンコだけ押すよう求められる、といったことも時々耳にする。

     B側の人が聞いても、A側が答えない(または内容が信じられない)ようなときは、B側の人も、自分自身で情報収集するようにアドバイスしている。預貯金の情報は、亡くなった親と、自分の関係を戸籍で証明すれば、口座がある金融機関で、残高証明書や取引履歴を取ることができる。どこに口座があったか分からないときは、メジャーな金融機関に全て照会をかけるといい。

     不動産は、役所・役場で、固定資産の資産証明書(または名寄帳)を取得する。このときも、戸籍で関係性の証明が必要だが、その自治体の中に所有する不動産を全て把握でき、評価額等を知ることができる。

     ここまで情報収集ができれば、親の財産をある程度把握することができる。そして、A側の言っていることが、概ね間違いでないのか、それとも、だいぶ現実とずれているのか、が判断できる。

     「本当はここまでしたくないのに」という気持ちもあるだろう。でも、遺産分けのハンコは納得して押すことが重要。モヤモヤするくらいなら、最低限自分の足で情報を集めることが大切だ。(山下)

  • あとを頼みます

    あとを頼みます

     「あとのこと、よろしく頼みます」。昨年末に他界されたTさんが、亡くなる2週間前に、私に電話をかけてきて、そう伝えた。さらに、「私はもう先が長くない。『私の相続はササッと終わらせなさい』と子どもたちに伝えてください」。電話口のはつらつとした声と、それとは相反するTさんの言葉に、私は混乱し、ただ黙って話を聞くしかなかった。

     以前、Tさんの遺言書作成にかかわった。財産分けについては、子どもたちの気持ちに配慮した内容を本文に織り込み、さらに、子どもたち一人ひとりに対する想いを、「付言事項」の部分で表現した。

     Tさんは、自身が亡くなったときの財産分けについて、遺言書で残すだけでなく、普段から、子どもたちに細かく話して聞かせていた。「そんな話をすると本当にそうなるから」と言って嫌がる子どももいたようだが、Tさんは自分の考えをしっかり伝えていた。

     ここまでしていれば、相続のときに、残された子どもたちが判断に迷うことはない。「親がそう言っていたから」。これが基準になる。これで全てが決まる。遺言書で文書として残すことはもちろん大事だが、話し言葉で伝えておくことも同じくらい大切だと感じた。(山下)