カテゴリー: スタッフのひとりごと

  • 公証役場か、司法書士か

    公証役場か、司法書士か

     遺言書の作成を頼むのは、「公証役場」か「司法書士」か。きょうはこの2つに絞って、どっちに頼むのがいいのか、深く切り込んでいきます。よかったら、前回のブログ「遺言書作成をだれに頼むか」(https://x.gd/dm0Tj)ご覧ください。

     「公証役場でも遺言の相談ができますよね?とよく聞かれます。また、「司法書士に依頼するメリットは何ですか」との質問もあります。

     結論から申しますと、公証役場では、「節税」や「具体的な相続対策」のコンサルティングを受けることは、基本的にできません。

     公証役場にいる「公証人」はあくまで「遺言書の内容が法的に有効か」「本人の意思に基づいているか」をチェックし、証拠能力の高い書類を作成するのが仕事だからです。

     その意味で、「公証役場だけでは不十分」と考えます。もう少し説明します。

     1. 公証人の役割は「中立・公正」

     公証人は元裁判官や元検察官などの法律実務家であり、準公務員のような立場です。
    〈できること〉遺言者の希望を聞き、それを法的に不備のない文章(公正証書)にまとめること
    〈できないこと〉「どうすれば税金が安くなるか」「どの親族に多めに分けるのが得策か」といった、家族の中でも特定の誰か(例えば、公証役場に相談に来た人)の利益になるようなアドバイス(コンサルティング)をすること

     2. 相続税(税務)は専門外

     公証人は「民法」のプロですが、「税法」の専門家ではありません。
    〈リスク〉公証人が作成した遺言通りに分けた結果、相続税の特例が使えず税金が高くなってしまったとしても、公証人が責任を負うことはありません。分け方次第で、税負担が増減することがありますが、その部分はノータッチです。

     3. 相続対策(争い防止)の提案も限定的

     「長男と次男が揉めそうだから、こういう付言事項(メッセージ)を書いた方がいい」といった、家族関係に踏み込んだアドバイスも、中立性の観点から深くは行われません。

     では、結局、相談先・依頼先は、「公証役場」か、「司法書士」か、どっちなのか?

     理想的なのは、遺言書の「設計図」をまず専門家(司法書士)に作ってもらい、その司法書士と共に「清書」(仕上げの遺言書)を公証役場で作成する、という流れです。(宮村和)

  • 残り時間は「あと1年」

    残り時間は「あと1年」

     相続登記の義務化が令和6年(2024)年4月から始まった。不動産の所有者が亡くなったときは、必ず名義変更をしなさいというお達しで、制度開始以降、相続が発生した場合は、3年以内に手続きをしなければならない。しなければ10万円以下の過料が課せられる。

     一方、令和6年4月より前に、相続が発生している場合も、この義務化の対象となっている。つまり、10年前や20年前に不動産の所有者が亡くなっているのに、いまだに名義が当時のままになっている場合は、速やかに対応する必要がある。

     この「令和6年4月より前」に相続が発生している場合は、「令和6年4月1日」から3年以内に名義変更をするのがルール。ということは、言い換えると、「令和9年3月31日」までに済ませる必要がある。そういうケースでは、名義変更の残りの期間は「あと1年」に迫っている。

     10年も20年も前の名義が、いまだに変えられていないというのには、それなりの理由があることが多い。その理由とは、やはり「遺産分けの話し合いがついていない」ということ。名義を変えようとしても、相続人(相続の権利を持っている人)が全員、「だれが引き継ぐか」ということを承認した上で、書面に実印を押す必要がある。その協議がもめたりして、終わっていない可能性が高い。

     この話し合いは、時間が経てば経つほど難しくなることが多い。なぜなら、相続発生当時に相続人だった「上の世代」が亡くなり、その子どもや孫に権利が引き継がれ、相続人の人数がどんどん増えるからだ。

     そうならないように、ぜひ早めに立ち上がるべきだ。確かに、不動産も都市部の一等地であれば、頑張って手続きを進めていこうというやる気にもなるが、逆に、田舎の土地では、手続き費用ばかりかかって、気が進まないのも理解できる。しかし、このまま放置していたら、子や孫と行った下の世代が、大きな負担を背負うことになってしまう。「あと1年」という期限をうまく活用して、名義変更を行うきっかけにしてほしいと思う。(山下)

  • 「空き家」支援法人に指定

    「空き家」支援法人に指定

     「空き家」のことも、あかりテラスにおまかせ! このほど、あかりテラス(不動産部門)が、熊本市の「空家等管理活用支援法人」に指定された。この指定は、今年度から熊本市が新たに設けた制度で、今回指定「第1号」(他に2法人も同時指定)。あかりテラスはすでに、熊本市の「空き家相談員」としても登録されており、今後一層行政と協力しながら、社会問題となっている空き家対策に取り組んでいく。

     熊本市とあかりテラスのこれまでの連携を紹介したい。熊本市の担当課から、空き家の処分を検討している所有者の相談を受けたことがある。「ホスピスに入居して、もう自宅に帰ることはない。空き家となっている自宅を処分して、自分が生きた痕跡をきれいにして、あの世にいきたい」。この方は、配偶者も子どももいないが、きょうだいがいた。しかし、きょうだいとは疎遠で、身近に頼れる人はいなかった。事情があり、すぐに自宅の売却はできなかったため、遺言書を作って、亡くなった後に自宅を処分することになった。

     健康状態の心配もあったため、遺言書の作成は急ピッチで進んだ。最初の面談の1週間後に公正証書の遺言書が完成した。だが、完成のわずか3日後に、その方は亡くなった。

     遺言書があったため、その内容に従って、その方が気にしていた自宅の売却がスムーズに進んだ。逆に、遺言書がなければ、疎遠だった複数のきょうだいを巻き込んで、「相続」の協議が行われる。もちろん、その進み具合は計り知れないが、場合によっては、長期化したかもしれない。そうなると、この家はまさに「空き家」となり、相続の解決まで、何年も放置されていた可能性がある。

     空き家問題の多くは、相続が絡んでいることが多いと感じる。所有者が亡くなった後、だれがその家や土地を引き継ぐのかが決まらず、結果、空き家になってしまうのだ。その意味で、相続に備える遺言書の作成は、この空き家問題の解決にも、大きな役割を果たす。「空き家を防ぐ」という視点でも、ぜひ遺言書の価値を捉えてほしい。(山下)