「いつまでも自分の足で歩きたいよね」「ずっと元気でいてほしいとボクも思ってるから」。お墓で転んだ母に、私は伝えた。そして、「今のうちから足の筋肉を鍛えておくといいよ」と畳み掛けると、母は「そうだね」とうなずいた。
「介護保険を使うと、そういう筋トレのサービスに安く行けるよ、週に1回とかでいいから行ってみる?」。確実に年老いているくせに、老人扱いすると機嫌を損ねる母である。「デイサービス」や「介護」という言葉を極力使わないようにして、母の答えをドキドキしながら待った。
すると、「それなら行ってみようかな」。ホッ。こうして、要介護(要支援)認定の手続きを進める段取りを始めることにした。そして、次のハードル。手続きを担う地域包括支援センター(以下、「地域包括」という。)の相談員に実家に来てもらい、母の様子の観察と、手続きの説明をしてもらう必要がある。
私は、母に会わせる前に、事前に地域包括に行き、母の最近の状態(認知症が疑われる言動があることや転んだこと)を説明。また、「地域包括から来た」、というと、母に怪しまれる可能性があったため、「市役所から来た」と言ってもらうことも了承を取り付けた。母のことをある程度知ってもらってから、当日を迎えることができた。
当日は、地域包括の相談員の優しい口調の対応もあり、母が想像以上によくしゃべって、面談はつつがなく終了、書類にもサインした。「自分はまだまだ元気」と気を張る母に対し、介護にならないような仕掛けを日常生活に自然と組み込むため、提案するタイミングを見計らいながら、関係各所の協力もいただきつつ進めた、今回の「介護サービス利用大作戦」。見事にコンプリート(完了)した。
近々、ケアマネジャーさんが実家に来て、具体的なサービスについて話し合うことになっている。母の足の筋力を付けて、介護を予防するだけでなく、外に出る機会ができ、一人暮らしの母に、いろんな人が関わるようになっていくことをとてもうれしく思っている。
「介護保険証が家に届いていませんか?」。年が明けて、地域包括の方から私に電話がかかってきた。母に聞いたところ、「そんなのは来ていない」。よくよく確認してもらったところ、実際には届いていた。そして、母曰く「今度からこれを病院に持って行ったらいいの?」。なるほど。「健康保険証」と勘違いしていたらしい。確かに、昔の健康保険証って、こんな感じだったよね。(山下)



