カテゴリー: 相続相談の現場から

  • 相談は学ぶことばかり

    相談は学ぶことばかり

     あかりテラス全体の、相続に関する新規相談件数は、年間750件を超えるようになってきた。そのうち私だけでも400件以上は受けている。私は現在、43歳で、相続の相談はほとんどが私より人生の先輩たちであることばかり。法律の分野は専門家ではあるが、人生においてはまだまだ勉強することばかりでむしろお客様に教えてもらうことのほうが多い。

     相談の中で気になることはお客様に質問するようにしている。例えば、「なんでこんなに親兄弟仲良いんですか? 秘訣とかあるんですかね? 教えてください!」とか、「どうやったらこんなに安心して暮らせるようなお金が貯まるんですか?」など、うまくいっている秘訣を聞く。

     この前100歳を超えるお元気な方には「100歳まで長生きするにはどうすればいいですか?」と聞いてみた。曰く「体は食べるものでできている。」とのことだった。肝心要とは、肝臓と腎臓を大切にしろとの語源だそう。肝臓が栄養を作り、解毒する。腎臓が骨と血を作る。専門的すぎてわからない部分もあったが、発酵食品と肉魚味噌汁など、昔の日本食を食べろとのことである。

     勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしというように、世の中には原理原則がある。これまでに私が得た人生をよくする教訓は「食事、運動、勉強、睡眠」である。肝臓と腎臓の書籍をAmazonで注文した。人生の先輩方からいろんなアドバイスを受けれるなんてありがたいと、心から思う。(宮村和)

  • 遺言書は結局ムダなの?

    遺言書は結局ムダなの?

     遺留分(いりゅうぶん)があるから、結局遺言書を作ってもムダだ、と言い張る人がいた。とあるセミナーでの一幕。しかし、決してそんなことにならないので、この言い分については、否定しておきたい。

     そもそも遺留分とは何か。ときどき、「遺留分」と「法定相続分」(法律で定められた相続割合)をごっちゃにしている人がいるが、両者は意味が異なる。遺留分は、「遺言書がある」ことが大前提。まず遺言書があって、その上で、遺言書の内容により、遺産を「たくさんもらった人」と、「あまりもらえなかった人(または全くもらえなかった人)」がいる場合に、少なかった人(またはゼロの人)が、多かった人に対して、「もう少しくれ」と請求する権利のことである。

     遺留分でもらえる額には限度があって、遺産全体の「半分」(相続人が親だけのときは3分の1)が、まず遺留分の対象。それに、自分の法定相続分を掛け算して、遺留分割合を算出する。遺留分を請求できるのは、配偶者、子、親だけで、兄弟姉妹は遺留分がないことにも注意。

     サザエさん一家を例にすると、波平とフネの夫婦に、子どもが3人いる。波平が亡くなって、波平の遺言書に「全財産をフネに相続させる」とあった場合、財産をもらえなかった、サザエ、カツオ、ワカメの3人には、遺留分がある。遺産総額の「半分」に対して、自分の法定相続分(6分の1)を掛け算すると、一人当たりの遺留分割合は、12分の1になる。遺留分は「請求できる」のであって、請求しなくてもいい。遺留分の権利を使うかどうかは、個人の自由である。

     このときの遺産の流れを説明すると、遺言書によって、いったん、フネに波平の遺産が全て渡る。その上で、子どもたちの中で、文句がある人は、個別に、フネに遺留分(最大12分の1)に相当するお金を請求する。しかし、もしかしたら、だれも遺留分を請求しないかもしれない。その場合は、フネは、遺産の全てをそのまま相続できる。だから、相続人全員で遺産分けの協議をすることなく、フネに財産を渡せる遺言書には、やはり大きな価値があるのだ。

     遺言書には、遺言書を残す人が、自分の希望に沿って、財産を渡す人を決められるというメリットと、一方で、財産を受け取る家族側の視点で見ると、遺産分けの話し合いをしなくて済む、という利点がある。遺産分けの協議をする過程で、もめる家族が多いことを考えると、その協議自体を避けるために、遺言書の作成は、だれでもしておくべきだと言える。(山下)

  • 遺言書はどこに保管?

    遺言書はどこに保管?

     遺言書はどこに保管したらいいの? 先日のセミナーで、こんな質問が出たので、「公正証書の遺言書」の場合と、「自分で書いた遺言書」の場合と、2つのパターンに分けて説明する。

     まずは、公正証書の遺言書。こちらは、作成を行った「公証役場」で、遺言書の原本が保管される。保管期間は、作成者の死亡後50年、遺言書作成後140年または作成者の生後170年間にわたり、保存する取扱いとなっている。また、作成時に、原本の代わりとなる「正本」と呼ばれる冊子が、作成者に対して手渡される。この正本は、作成者自身が自宅等で保管し、作成者が亡くなった後は、家族がその正本を使ってさまざまな手続きを行う。手元の「正本」を紛失した場合は、公証役場で改めて「謄本」(コピー)を発行してもらうことができる。

     一方、手書きの遺言書。こちらの保管方法は、大きく分けて2種類。一つは、自宅の金庫や仏壇の引き出し等、作成者が自分自身で保管する。この方法だと、紛失の危険性があるほか、家族に知らせていない場合は発見されない可能性もある。

     もう一つは、法務局で保管する方法。令和2年から始まった制度で、自分で書いた遺言書を、住所地等の法務局に自分自身で持っていく。この場合、遺言を書く用紙がA4サイズ限定、所定の余白を設けるなどのルールがあるほか、預ける際に3900円の保管料を支払う必要がある。この方法にすると、遺言書の原本は、作成者の死亡後 50 年間、遺言書の 画像データは、作成者の死亡後 150 年間にわたり、保管してもらえる。

     作成者が亡くなった後は、家族などが法務局で遺言書の原本の代わりとなる「遺言書情報証明書」を発行してもらい、手続きを行う。

     せっかく作った遺言書が無駄にならないよう、「保管」という部分に焦点を当てれば、遺言書は、公正証書で作成するか、自分で書いた場合は法務局に保管するのが安心だろう。ただ、遺言書を作成する上での注意点は、他にもたくさんあるので、専門家と相談しながら作ることをおすすめする。(山下)